今年度第2回、通算37回目の勉強レストランそうなんだ!!自立支援講座が9月29日、東京・北区の滝野川文化センター(北区滝野川会館内)で開催されました。テーマは普段の生活の中でできる「知的障害児・者の防災準備」、講師は北区危機管理室防災課防災計画係長の岡部毅氏。
講座は午後2時開始。司会は当NPOで8月に開催した「そうなんだ発見教室」で学生スタッフとして活躍した吉野翔子さんが担当しました。彼女は教職を目指し、早稲田大学大学院で発達障害や教育心理について学んでいます。当日は福喜多孝事務局長による主催者挨拶に続いて、岡部氏による講座が始まりました。
岡部氏はまず過去の地震の分析を元に、首都圏に震災が起きたときの北区での被害について解説、実際にどのようなものを備え、地震が起きたときにどのように行動すれば良いのかという話がありました。たとえば、水は一人1日3ℓ、これを最低3日分確保しておくべき、非常持ち出し袋には、預金通帳、健康保険証、免許証の番号を書いた一覧表を入れておくとよい、家庭内防災会議を時々開く、など。
避難場所と避難所の話もありました。避難場所は、関東大震災で多くの人が火災旋風で亡くなったことを教訓に東京都が制定したのだそうです。一方、とりあえずの生活の場となる避難所は自治体が設置するのではなく、町会などの自主防災組織、学校職員などが自主的に開設・運営するのだそうで、私も含め、会場にいたほとんどの人が知らなかったようです。
これらは、健常者と呼ばれる私たちにもとても役に立つことです。こうした知識を身につけ、学んだことを生かして行動できれば、私たちは自分の命を守ることができると思います。しかし、障害を持つ人びとはこれだけでは十分ではありません。岡部氏の話は、災害時要援護者に関しての話に移りました。
まず災害時に備えて障害者は、行政(北区民なら北区役所)の災害時要援護者名簿にあらかじめ登録しておくことを勧めました。また今年度中に、災害時要援護者防災行動マニュアルの配布や、緊急時連絡先や必用な支援内容などを記載した「ヘルプカード」の導入を目指しているそうです。
避難所生活は、障害がなくてもストレスが多く、まして障害があれば余計配慮が必用です。このため、たとえば避難所には、定期的に要援護者の容態を確認する「福祉避難室」が設けられます。また通常の避難所とは別に、要援護者向けに福祉避難所を設ける体勢だそうです。たとえば通所している施設がある障害児・者には、日頃通いなれた場所へ直接避難できるようその通所施設を「福祉避難所」(通所型)とするそうです。
障害者に配慮した災害時支援の体制は少しずつではありますが、整ってきているようです。活用する私たち自身が、正しく情報を得ていかなければなりません。
約1時間の講演のあと、10分ほどの休憩を挟んで質疑応答を約1時間、4時半にこの講座を修了しました。
今回の講座は、「知的障害児・者」の防災準備というテーマではありましたが、健常者といわれる私たち自身も命を守るために有益な情報をたくさん得ることができました。
私たちのようなNPO団体のネットワークも緊急時には活用できるはずです。地域に根付いた活動を今後も続けていくことで、災害が起きたときも公的機関に頼りきりになることなく、お互いに補い合っていく関係を築けると私は思います。このNPOのスタッフの一員として、これからはいざというときの協力の仕方も考えていきたいと思わされる講座でした。(平野祐希子)