2020年3月28日(土)に第56回(令和元年度第4回)の自立支援講座が勉強レストランそうなんだ!!の滝野教室で開催された(本年度の自立支援講座は、第10回(2019年度)住友ゴムCSR基金の助成を受けています)。テーマは「放デイサービスの賢い使い方と福祉の制度・法律の最近の動き」。講師は、おざわ行政書士事務所代表の小澤信朗氏。

 

いい放デイは職員向けの研修をやっている

 

小澤氏は、最初にこの講演会のゴールイメージとして、放課後等デイサービス(放デイ)の利用に際しての賢い使い方、いい放デイとダメな放デイの見分け方などを挙げた。いい放デイは、スタッフ向けの研修をやっていること。放デイの“商品”はスタッフのはずと言う。商品価値を常に向上させていく努力、企業努力が必要。それはスタッフ向けの研修だ。

障害の分野は分かってないことが多く、常に勉強し続けて行かなければならない。障害特性について言えば、20年ほど前と今とでは全く違う。例えば発達障害という用語は20年ほど前にはなかった。 発達障害者支援法ができたのが2004年(平成16年)。アスペルガーという用語も今やなくなってきている。自閉症スペクトラムという用語に代わられている。この子にはどうすれば良いのかは、スタッフは勉強し続けていないと分からない。ポイントは、きちっと勉強している事業所かどうかを見ておきたい。親なきあとをどうするのかとか、放デイをどう使いこなしていくか、といった話を本日はしていきたい。一つのポイントが、研修を定期的にやっている事業所かどうか。研修のやり方も今後知っておいてほしい。情報収集の仕方。情報収集の仕方は、特にスタッフや保護者も理解してほしい。ではどうやって情報収集するか。幾つか挙げたい。一つはYou Tube、もう一つがアプリ。情報収集の仕方は今後変わってくる可能性がある。では、どうやって情報収集するか、幾つか挙げたい。

 

ZoomやYou Tubeの活用を

 

今日はここへ来てセミナーをやっているが、オンラインでも可能。Zoom(オンラインセミナーなどを開催するためのアプリ)というのがあることも押さえてほしい。オンラインセミナーは講師にとっては対面でやるより数百倍難しいが……。You Tubeは、去年あたりから教育系がめちゃくちゃ増えている。なぜかというと、携帯電話も5Gという高速の時代に入り、今年、来年には動画が見放題になる。You Tubeで情報提供したほうが、情報発信する側のメリットとなる。私はほぼ毎日You Tubeにアップしている。10分くらいの動画とか。特に面白いことをしゃべっているつもりはないが、10分の動画で平均視聴時間は4~5分。結構見てくれる。この1~2年で皆さんの動画に対する意識が急速に変わってきたお陰で教養系のYou Tubeが出てきている。そのはしりが、「メンタリストdaigo」であったり「オリラジ(オリエンタルラジオ)中田」だ。彼らは、情報をエンタメ(エンターテインメント)化して届けるようにした。これからは「You Tubeなんか見てないで勉強しなさい」という叱りかたは間違っているかもしれない。「You Tubeを見て勉強しなさい」という時代が来るかもしれない。少なくとも大人はYou Tubeを見て勉強する時代が来ている。あとAmazon Audible(オーディブル)とかAmazon Kindle(キンドル)。Amazon Audibleは、本を朗読してくれる。月額1500円で1冊読んでくれる。 Kindleは電子書籍。情報収集はお金をかけなくてもできる時代になった。今までの常識が非常識になる可能性がいくらでもある。自分の価値観をいくらでも疑ったほうがいい。

 

 

放デイの制度をきちんと理解し何のための施設かを分かったうえで

 

良い放デイの見分け方は、前述のようにまず研修をどれだけやっているか、第二点が、学校の先生が見学に来ているかどうか。学校の先生が見学に来たいと思うような活動をできていなければ、その放デイは今後きつくなる。

放デイを利用するうえで保護者が出来ることは、制度をきちんと理解し、放デイが何のための施設なのか分かったうえで、クレームがあるならする。小澤氏は、放課後等デイサービスの定義について取り上げた。児童福祉法第六条の二の二の④には、まず「放課後等デイサービスとは、学校教育法第一条に規定する学校(幼稚園及び大学を除く)に就学している障害児につき」とあり、「学校に就学している……」とあるのは、放デイが学校との連携が必要であることの証であるとした。特別支援学校の個別支援計画と、放デイの個別支援計画に何らかの整合性が求められるのもこの条文のためだ。次に障害児の定義。児童福祉法第四条②で規定されており、それによると、身体障害、知的障害、精神障害(含発達障害)などがあり障害児の定義が広くなっている。この中で精神障害がくせ者。児童にはあまり関係ないが、これから問題となるのは依存症。この人たちには刑事罰を与えるより、障害福祉サービスを利用しながら戦っていくことが求められていく時代が来ている。障害の定義がこれからますます広くなっていく。昔は障害は肢体不自由と知的障害しかなかった。特別支援学級・学校に通うお子さんしか障害児扱いにならなかった。

 

 

放課後等デイサービスは、預かる施設ではなく訓練する施設

 

児童福祉法第六条の二の二の④の続きに「授業の終了後または休業日に児童発達支援センターそのたの厚生労働省令で定める施設に通わせ、生活能力の向上ののために必要な訓練、社会との交流の促進その他の便宜を供与することをいう」とある。放課後等デイサービスは、預かる施設ではなく、本来は訓練する施設である。訓練をするとは、出来ないことを出来るようにする、支援があったら一人でも出来るようにすることだ。あとは社会との交流を促進しなければいけない施設でもある。放デイの主役は子どもであって母親ではない。レスパイトケア(在宅で障害者(児)や乳幼児、高齢者などを介護(育児)している家族に、支援者が介護(育児)を一時的に代替してリフレッシュしてもらうこと)を求める場合は、日中一時支援事業とか短期入所サービスという別の制度がある。放デイサービスは訓練施設なので、成果を出すことが求められる。成果を出せる活動をしているかどうかがポイントとなる。そのチェック機能は保護者でないとできない。長い時間預かってくれればいいとか、私のレスパイトケア代わりに使えればいいと考えていると、放デイも適当な支援かしなくなる。逆に母親の意識が高ければ高いほど事業者はいいサービスをしてくれる。基本的には自分で情報収集しないと損をする。

 

 

 

2000年頃から日本の社会保障制度はがらりと変わった、措置から契約へ

 

2000年に介護保険制度がスタートした頃から日本の社会保障制度はがらりと変わった。いわゆる措置から契約への流れだ。措置では、最終的な意思決定権は行政側にあった。利用者側の満足はいらなかった。これに対して契約では、最終的な意思決定権は事業者と利用者にある。事業者側と利用者側の合意があって契約が成立する。契約制度の本質は自由。利用してもいいし、しなくてもいい自由。放デイの本質は、保護者が行かせたくなかったら行かせなくていい。保護者は自由だが責任も生ずる。行かせたくなかったら行かせなくても構わないが、その後何が起きても国は保証しない。それが障害福祉サービスのいいところであり、恐ろしいところ。契約制度の本質を理解してほしい。契約を締結してからでないと、利用する意思がないとサービスは始まらない。契約制度というのはお金を払ってでも望むものを提供しなければならない。放デイと保護者は契約制度で結ばれている。放デイだろうと相談支援専門員だろうと訪問看護ステーションだろうと基本的には保護者の要望に従って運営されなければならない。保護者がお金を払っているのだから。では、何でも要望していいのかというと、そうではない。

放デイサービスは、普通の契約制度と二つだけ違う。一つは、利用児童が違うこと。放デイを利用できる子どもは、障害によって日常生活に課題があり、それを解決するため放デイを利用することが必要と行政(特別区など)が認めた子ども。それを証明するのが受給者証。その受給者証、障害があれば誰でも発行してもらえるのか。まず保護者が申請することが大前提。障害福祉サービスは申請主義。2006年に障害者自立支援法が施行されて、障害福祉サービスが契約制度に変わった。今となっては、障害福祉サービスがあることが当たり前となっており、制度は利用して当たり前。ただしいかに有効に利用できるか。“賢い消費者”になれるかどうかだ。障害福祉サービスにはそういう側面がある。介護保険サービスも全く同じ。制度のことを理解したうえで、使い倒しましょう。どういうサービスがあって使えるのか、役所に聞くなりしてご自身で調べるしかない。相談専門支援員に教えてもらう手もある。放デイサービスは、向いてないと思ったらやめてもいい。相談専門支援員も、使えないなと感じたら即替えたほうがいい。

 

 

お願いしたいと思った人・所にお願いし通わせる

 

保護者に知っておいてほしいことは、障害福祉サービスは契約制度なので、相談専門支援員を含めて、お願いしたいと思った人にお願いする、通わせたいと思った所に通わせる、これが大前提。そこに対する遠慮は一切不要。やめる自由もある。放課後等デイサービスの賢い使い方・注意点に関して言えば、まず将来、お子さんがどのようになってほしいのか明確になっているか、そしてそこから逆算して、今のお子さんに必要と思われるプログラム活動を行っている施設であるかをチェックの対象にしていい。例えば一般就労を目指すのか、障害福祉サービスの中で生きていくのかで変わってくる。一般就労を目指すのであればどういう仕事だったら可能か。お子さんがどういう生活を送ることで幸せにつながってくのかを明確にしたい。

もう一つ大事なことは、2回目以降の個別支援計画書の記載内容がコピペになっていないか。実際のところは、継続性の観点からも8割ほどはコピペになることはやむを得ないと思われるが、 最低2割以上は児童の成長にあわせて変化していなければ意味をなさない活動しかできていない、と言われても仕方がない。あと質の高い放デイサービスは、周りを巻き込むのがうまい。放デイは、18歳までしか面倒見られないからそこから先を考えている事業所かどうか。学校の先生だって相談支援員だって能力のある人は巻き込む力がある。巻き込む力がない事業所には行かないほうがいい。

 

 

地域での暮らしが当然の時代が来る、生活することを考えよう

 

これからどんな時代が来るのか。地域での暮らしが当然の時代が来る。生活ということを考えてほしい。特に女の子の場合、結婚をどうするかというのがある。もらえるのだったら障害年金、財産管理が心配だったら成年後見制度の活用がある。障害年金は結果的にもらえないこともあるが、もらえる可能性もある。結局調べてみないと分からない。地域での暮らしが当然の時代ということであれば、グループホームで生活していくのか一軒家で生活していくのかも考える必要がある。卒業後の進路調査、障害福祉サービスを利用するのか一般就労するのか、、障害年金や後見制度(財産管理など)、信託制度の知識や利用取り組み、親亡き後のお子さんの生活の場の確保やライフプラニング、障害福祉サービスの有効活用という点で、情報の収集と有効活用が重要になることををエンドユーザーである保護者は是非知っておいてほしい。保護者ご自身が面倒を見られなくなった時、お子さんはどうやって暮らすの?ということを今から考えておいて遅くない。

パワポ資料p.16にある農福連携について質問がとんだ。農福連携とは農業と福祉の連携のことなのだが、今、農業はメチャクチャテクノロジーが進んでいて、ゲームコントローラを動かすのとあまり変わらなくなっている。ゲームコントローラを使いこなせれば、障害者も農作業が可能になってきている。ゲームでお小遣いを稼げる時代が来るかもしれない。

理事長から、放課後等デイサービスの卒業に向けての準備に関してコメントがあった。「障害年金や後見制度や信託制度に関しては、勉強レストランそうなんだ!!としても、自立支援講座の形で何度も取り上げてきたが、熱心な利用者(聴講者)がいる一方で、特に性の問題や成年後見については『まだ早い、まだ早い』という利用者も少なくない。これからも呼びかけ続けるんですかね」。これに対して小澤氏は、何十回でも呼びかけるべし、とした。子どもが小さいうち、現在進行形ではなかなか将来のことは見えない。理事長は、「まだ小さい、まだ早いと言ってるうちに、小学校高学年にもなると性器いじりが始まったりする。言ってもやめない」と述べた。分かっているお母さんは、そうした自立支援講座にも来る。分かってないお母さんには、個別支援計画書などを渡す時に、「情弱(情報弱者)だと損するのはお母さんだからね」と言い続けるしかない。         (事務局長・福喜多孝)