先日指導員さんの研修会を実施しました。テーマは「多動な子どもへの支援」です。テキストは「多動な子どもへの教育・指導」(石崎朝世監修・著、湯汲英史・一松麻実子編・著、水野薫・黒川君江・長谷川安佐子著 明石書店)です。
多動なお子さんの相談件数が増えている中、当事業所でも例外ではありません。
かつては保護者のしつけの問題とされていたが、現在では脳機能などの問題とされています。また、時代の変化による子どもを見る社会の目の変化や2次的な問題への指摘には気づかされるものがありました。2次的な問題とは多動なお子さんの場合、幼い頃から集団から外されやすく衝動的で不注意な行動で怒られることが多く自信を失っていることが多く、ますます多動な傾向を強めてしまうことを指します。
では多動なお子さんを学習の場ではどのように支援したらよいのか。いくつかの方法としてあげられたものを一部紹介します。
⓵学習の準備の時など言葉による指示より絵カードの利用など有効。
⓶学習に関わらず一度失敗すると立ち直りが難しいため少しの努力で達成できる目標をたてる。
⓷友達に力でちょっかいを出すのではなく「入れて」、「やめて」などの言葉を教える。
⓸多動なお子さんの言葉の理解度を配慮する。(語彙が豊富なので知っていると思っている言葉を実は理解していない)
⓹必要以上のおしゃべりにはルールを作り、徹底する。挙手して発言することなど。
等々実行しやすいものから時間のかかるものまで様々あります。指導員さんそれぞれ得手不得手があるかもしれません。
指導員さん全員といって良いほど対応に苦慮するのがお子さんのパニックです。突然の感情の大きな波、泣き叫びに対面して慣れないうちはなすすべが無いように感じる人もいるかもしれません。
パニックにはいくつかの原因による種類分けができます。対応 にはいくつかの基本対応があります。
⓵不安を起こす要因を見つけて段々とならす。
⓶自分のわがままを通すパニックの場合は認めない。ダメなものはダメと通す。引き替え条件を呈示して興奮を収めることはあります。
⓷要求は言葉で言わせる。
⓸ゲームをしていて負けたことに納得がいかずにパニックになるお子さんの場合、興奮が静まってから泣かずにゲームを終えたら褒めて評価する。あまりにも勝ちにこだわる場合は参加させないこともあり。指導員は勝ち負けより「ルールを守って参加できたか」に重点をおく。
⓹興奮した子どもに感情的にならずに冷静に対応し、怒りの原因を教えて怒って良い場合や表現法を学ばせる。
難しいですね。一人が興奮して大きな声をだすとつられて何人かが一斉に大きな声をだして収拾がつかなくなることもあります。
パニックへの対応をはじめとして多動なお子さんへの対応はすべて時間がかかるものと思って良いようです。
管理者兼児童発達支援管理責任者 福喜多明子