映画「わたしのかあさんー天使の詩」を練馬文化センター小ホールで観ました。
福祉施設の園長山川高子の両親は共に知的障がい者。高子がその事実を知ったのは小学校3年生の時だった。優秀で、障がい児学級との交流給食すら参加する気のない高子にとって両親のことは受け入れがたいものだった。授業参観のおたよりを高子は隠したが、見つけた母はやってきて無邪気に騒いでしまう。他の保護者の失笑を買う母の姿に身の置きどころのない高子。荒れる高子に対して医師である親友の父親、高子の祖母、高子の叔父、母のかつての担任など周囲の大人はさまざまなアドバイスをする。
高子の心がほぐれだしたのは母の分け隔てなく人にやさしく接する人柄をだんだんと理解するようになってきたころだった。母の一見奇矯な振る舞いを笑ったり悪口の材料にしていた人々にも変化が生じる。
上映に先立って監督の山田火砂子さんの舞台挨拶がありました。山田火砂子監督、御年92歳、70歳から映画造りを始めたとのこと。話し出したら止まらない、ド迫力の人でした。
勉強レストランそうなんだでは2012年の第33回自立支援講座で「私たちは こうして知り合い、結婚し、生活している」を実施しました。その時、実感したことは「障害のある
人の結婚には周囲の支援と本人を含めた工夫が必要ということでした。映画の中でも母親が生活費を全部千円札にして⒉000円を日めくりカレンダーに張り付ける場面があります。
お金を使いすぎないための工夫です。
映画の中で高子と親友、そして高子の母が近所の子供たちを集めて塾を開く場面があります。障害のない子供も、ある子どもも隔てのない共に活動する場面です。勉強レストランそうなんだでは学校の中で障害のある子もない子も出来るだけバリアを低くした環境作りを理想としてきました。同じことを学ぶ必要はないけれどより共に過ごす空間と時間が広い視野を持った人間形成には必要と思うからです。
高子親子を取り巻く近所の人々が段々と心を開いていく過程も同じ地域に暮らすからこそ出来ることだと思います。
さまざまな思いがこみあげる一時でした。
管理者兼児童発達支援管理責任者 福喜多明子