「どうして勉強レストランそうなんだ!!の先生は○○君のこと無視するの?」

 

ある子どもからそう訊ねられました。

誤学習してしまったことで発生する行動障害を抑止するために、不適切な手段でコミュニケーションをとろうとする利用者に対して、あえて”反応しない”という支援をすることがあります。

一見して無視をしているように見える場合もあるのですが、決していじわるをしているわけではありません。

そのような不適切な手段で周りの人の関心を得ようとすることを”注目行動”と呼びます。

 

注目行動の消去には周囲の支援者の一貫した対応が求められますが、実際にそれを行えているかと言うと難しい側面もあります。

ご家庭、学校、移動支援、病院、入所施設など、一人の子どもに対して、放デイ以外にも多くの大人が関わっていて、それぞれが人格を持った人間です。理想の支援と実際にできる支援の差に迷うこともあります。

 

高卒で教員免許なんてないくせに子どもたちから「先生」と呼ばれることに申し訳なさを感じつつ、期待と信頼を込めてそう呼んでもらえることに誇りを持って、応えられる自分でありたいと思っています。

注目行動に対し、消去のために反応をしないでいる間、子どもの痛切な声を聞き、胸が潰れるくらい苦しくて涙が出そうになりました。

でも保護者の皆さんにとってはそれが日常なのかもしれません。

 

先月、都電に乗って行った買い物プログラムのとき、雑司ヶ谷のおしゃれなドーナツ屋さんのレジで、子どもがお釣りをもらい損ねてお金を落としてしまいました。

「落ちちゃった」と立ちつくしている彼の後ろで慌てて這いつくばって小銭を拾っていると、お店の方が「大丈夫ですか?」と声をかけてくれました。

私はその一言に救われました。

常に周りにいる人のご迷惑でないかと気にして、先回りして申し訳ないと思ってしまう。この気持ちが支援者としての私の中にも存在することに気づくことができました。

自分はたくさんの人の厚意や善意に支えられて、ここに立っているということ、忘れてはいけないことなのに、いつも躓くたびに思い出しています。
一人でできる支援には限りがあります。これからも協力し合って、子どもたちのためにできることを探していきたいです。

(指導員:磯貝佳史)