「知的障害者の保護者の悩みに応える」自立支援講座、参加者から活発に質問

講師の小嶋珠実(あい権利擁護支援ネット)
2011年7月31日(日)に、東京・北区の滝野川文化センター(滝野川会館内)で本年度第2回目(通算26回目)の自立支援講座「知的障害者の保護者の悩みに応える」が開催されました。参加者は法人のスタッフも入れて約30名。ほとんどの参加者がリピーターです。
当日の講師は、あい権利擁護支援ネット理事の小嶋珠実氏。第1回自立支援講座でも、同ネット代表理事の池田恵利子さんと共にお話いただいたのでお馴染みの感があり、1回目の続きのような雰囲気です。小嶋氏のレジメには「将来の生活の場は?」「就労への支援」「将来必要なお金は?」「成年後見制度」「性への興味の対応は?」「家族の役割」「今後注目される知的障がいのある人が利用する法律」などの項目があります。
当初はこのレジメに沿ってお話しが進んでいたのですが、30分もするとに参加者から質問が出始め、それをきっかけに参加者の質問に小嶋氏が応えて解説するという形になりました。参加者の多くが質問を出しました。講師が講演をして最後に少々の質問をする、という形ではなかなか質問は出しにくいのが通常ですが、今回の講座は参加者と講師の間の壁を取り払い、存分に日頃の疑問や思いを出すことができました。

明るい話題を2つ

なでしこジャパンがワールドカップで優勝!!さしてスポーツファンならずとも興奮せずにはいられないここ数日でした。沢選手はじめ皆の「あきらめない気持ち」がすごいですね。私も生中継を見ていましたが、延長戦でワンバック選手にヘッディングを決められたときはさすがにもう終わりだな、と思ったのですが、選手達はまるっきり諦めてなんかいなかったのですね。勝手に周囲が諦めていたのか、と思いました。
ところで法人にとっても明るい話題を2つ。
8月6~12日に延べ5日間の「夏の発見教室」があります。毎回、早稲田大学教育学部の学生さんが中心になって開催します。対象は主に知的な障害のある児童・生徒。内容は夏休みの宿題を個別に見たり、ゲームをやったり、学生さんの“発見授業”をやったり、というものです。学生さんはほとんどが将来、教職や福祉関係の仕事につくことを希望している人達です。参加者にとっても学生さんにとっても互いに“発見”するものがある教室になることを期待です。先日、その学生さんたちと打ち合わせをしたのですが、一人一人が自分のやりたいことを明確に持っている、と感じました。現在の教室の利用者のご兄弟が中心になって集まったメンバーですが、今後の法人の活動に新しい展望が開ける予感です。
もう一つは自立支援講座にリピーターの参加者が増えたこと。ここ2,3年の自立支援講座の参加者リストで前にも見たことがあるな、というお名前がいくつか出てきていたのですが、7月31日に実施する本年度第2回(通算26回)自立支援講座は参加予定者の9割がリピーターです。数年前までは講座を実施できるだけでホッとしてしまい、参加者の皆さんのお顔をはっきりと意識する余裕がなかった私なのですが、何回も参加されている方のお顔を見たり、リストを見たりすると何とも言えない思いがこみあげてきます。うれしいです。これからも参加して下さい。そして「こんな講座も開いて下さい」というアイディアも出して下さい。法人を支えて下さい。一緒に活動していければ最高です。(理事長)

平成23年度第1回自立支援講座、社会福祉士が知的障害者の成年後見制度の活用法を語った

あい権利擁護支援ネットの池田氏(右)と小嶋氏平成23年度第1回(通算25回)の自立支援講座「知的障害者が成年後見制度を活用するには」が6月26日(日)に、滝野川文化センター(東京・北区)で開催されました。講師は2人、あい権利擁護支援ネットの代表理事、池田惠利子さん、同じく理事の小嶋珠実さんです。あい権利擁護支援ネットは独立型の社会福祉士である池田さんが主宰していますが、知的障害あるいは高齢者の権利擁護に取り組み、実際に成年後見人を引き受け(正確には受任と言います)、相談業務を行っている機関です。
講座前半を担当した小嶋珠実さんは8人の知的障害者の成年後見を現在担当しており、様々な生活相談にも乗っている体験をベースに具体的な話を聴かせてくれました。成年後見には、被後見人の障害が重い順から「後見」、「保佐」、「補助」の3つの種類(類型)があるが、自分の子どもはどの類型があてはまるの? 被後見人達の気持ちや願いはどんなことなのだろう? といった悩みに応える本当に具体的な内容でした。
後半は池田惠利子さんのお話し。高齢者の虐待防止に積極的に関わっている池田さんのお話は権利擁護全体に関わる情熱的な内容でした。
午後2時に開始した同講座でしたが、あっという間に使用会場の退出時刻ギリギリの5時近くになっていました。
本年度の第2回自立支援講座は7月31日(日)午後2時から。小嶋珠実さんのお話しを聴きます。より詳しい成年後見のこと、生活上の相談業務をされての具体的なアドバイスを期待しています。ぜひ、皆さん、参加して下さい。(事務局)
<参加者の感想より>
「後見人の仕事がよくわかりました。遠い存在でしたが、一番身近におつきあいして、見守って頂く方なんだと感じました。障害がある長男以外に、弟、妹が3人いますが、弟妹には別の人生があるとずっと考えていました。自分(親)が亡き後がどうなるのか、ただただ心配だったけどこのような制度があることを知り、少しですが道しるべができた気がしました」
<理事長より>
平成21年度に成年後見に関する講座を2回連続でやりました。その時は、制度そのものを知ろう、という趣旨でした。22年度の「知的障害のある人びとが幸せな相続をするために」はその続編。そして法人の会員の中で高まったのが、成年後見の実際を知りたい、親がなるにしろ、誰か他人に頼むにせよ、実際の例が知りたい、実際に担当している人を探そう、ということで今回講師をお願いしたのがこのお二人でした。良かったです。

6/25の「くら算」は「節電目標を目指す――%とワット(単位)の学習」

2011年6月25日の午後2時から4時まで、本年度2回目のグループ学習「くらしの算数」を開講しました。テーマは、「節電目標を目指す――%とワット(単位)の学習」です。
ご存じように3.11大震災で原子力発電所が大被害を受けた結果、電力の需給関係が逼迫し、節電が強く叫ばれています。そうした状況を、算数的に学んでみようというわけです。
当日はいつものように、まず100マス計算(足し算)で“準備運動”。ついで節電に関する新聞記事を読みながら、東電の電力供給力は何割減って何ワットになったか、今年の夏のピーク時には何ワット不足し、何%の節電が求められているかなどを確認しました。ふだん何気なく何%とか何割と言っていますが、意外にきちんと理解されてないケースが少なくありません。また、ワットという単位、さらにキロワットのキロとは何かについても学びました。ご存じのように、ワットという単位は、蒸気機関で有名なスコットランド人、ジェームス・ワットにちなむんですよね。また3100万キロワットとは、31,000,000ワットということも確認しました。
さらに、節電目標とされている15%とは、具体的にどうすればいいのかも考えてみました。一般的な家庭ではエアコンをとめるだけでも15%をクリアできるが、単純にそれをすると熱中症となるリスクがあるので、設定温度を2度上げると10%の節電となると言われていることも確認しました。
最後は、おなじみスイーツの時間です。今回は暑いのでアイスクリーム。奮発してハーゲンダッツにしたのですが、2時間の授業が終わった時には、溶けてポタージュ状態になっていました(そうです、勉強レストランには冷蔵庫がありません!!)。(講師TF)

ボランティアについて思うこと

NPOを運営していると、「ボランティアとして何かお手伝いしたい」との申し出が結構あります。しかし、法人化6年目に入ってボランティアの難しさ、違和感をますます実感しています。それは受け入れる側だけでなく、ボランティアをする側にも、具体的内容こそ違っても感ずることではないでしょうか。受け入れる側として私が最近思っていることをこのブログで少々長くなりますがお話ししたいと思います。
今年の3月初め頃、当NPOの事務所・教室近くに住む学生さんからボランティアの申し出がありました。いきなり手伝ってもらう前に、ちょうどその月に行われる予定の自立支援講座への参加をお願いしました。まずは法人の活動内容や理念を分かって貰おうという趣旨です。それまでも、ボランティア希望の人に自立支援講座への参加を呼びかけたことはありましたが、結局それっきり連絡がないことが多くありました。しかし、その学生さんは、その講座に参加してくれて、また当日会場で大変良い意見を言ってくれました。4月には北区の助成を受けるための公開プレゼンテーションがあったのですが、その時にも応援で参加。若い人が法人の活動に関心を持ち、肝心な部分に参加してくれたのはうれしかったですね。
そうしたことを経て、この学生さんは、ホンモノだとの思いに至り、5月初めに事務所でどのようなボランティア活動をしてもらえるのか、何が出来るのか、かなり綿密な打ち合わせをしました。その学生さんは、出席しなければならい講義の関係で日常的なボランティアは難しいので、自立支援講座の手伝い、そして大学の夏季休業中にボランティアとしてとして協力していただくことが決まりました。夏季休業中には、知的な障害のある児童・生徒を対象として宿題やその他の活動を支援する「夏の発見教室」を担当してもらうことになりました。もちろん当法人からも担当者を出し、他にも法人の正会員のお子さんで学生さんにも協力を呼びかけるつもりでした。
その後、5月末あたりから6月初めにかけて、「夏の発見教室」が北区社会福祉協議会の助成を受けることが決まったこと、場所取りの関係で日時をはっきり決めなければならないことなどでメールを出したのですが、急にレスポンスが悪くなりました。しかし、場所を予約しなければならず、そのためには日時も決めねばならず、やむなくご家族に連絡を取ってレスポンスを願ったところ、その学生さんから「すみません、日時はそちらで決めて。自分は合わせるから」というメールが来ました。
そのころから私は大いに危惧の念を持ち出したのですが、6月12日の理事会でもその状況が話題となり、本人が現れない場合、この「夏の発見教室」自体をどうするか、ということになりました。理事会翌日、参加を申し出てくれた他の学生さんも含めて「第1回打ち合わせ会を6月26日にします、出席できますか?」とのメールを出しました。その学生さんからは、すぐに「学校が想定外に忙しくすみません。26日出席します。同日の午後実施の自立支援講座も手伝いします」とのメールが来ました。「想定外のことは誰でもあり得ること、無理はしないで、でも連絡はちゃんと下さい」とメールを打ち返し、同時に“大いに危惧”は杞憂だった、良かった、という気持ちでした。
ところが、いざ26日になってみると、何の連絡も無しに彼は来ませんでした。結局、他の学生さんたちで体制を組み、計画を固めました。こんなことあるんですね。これまでもいろんな人がいて、がっかりすることは片手ではすみません。ですが、彼はきちんと自分の意見を持ち、とても誠実さが感じられただけに何があったのか、どう思っているのか、図りしれないがっかりな思いです。
たまたま、ある学生さんの例を中心にお話ししましたが、このようにボランティアにまつわって、がっかりしたこと、違和感を持ったこと、裏切られた思いをしたことは具体的状況は違いこそすれ、1回や2回ではありません。しかし一瞬にせよ、出会いによって得たことに、もっと感謝すべきかもしれませんね。ここで紹介した学生さんで言えば、「夏の発見教室」のきっかけを作ってくれたのですから。(理事長)

「自立支援講座」に対する平成23年度「北区地域作り応援団事業」の助成金交付が決定

当NPO法人の「自立支援講座」は、活動の大きな柱の一つですが、それ対して平成23年度「北区地域作り応援団事業」助成金の交付が決定しました。助成金額は50万円。北区地域作り応援団事業の助成は、昨年度も自立支援講座に対して50万円の助成を受けましたが、2年連続で助成を受けられることになった形です。
その結果、今年度の自立支援講座も昨年度と同レベルの予算を確保できることになりました。ただし、うかれてばかりもいられません。昨年度の自立支援講座ではアンケート調査、ロールプレイの導入など新たな試みに取り組んだ結果、それなりの成果を挙げ、今年度の助成決定にもつながったとみられますが、スタッフの負担は決して小さくありませんでした。しかし今年度、昨年度の企画内容をそのままなぞるわけにはいかず、新たな試みが求められます。
今年度の助成枠は6件、それに対して8件の応募があり2次審査に臨んだのは7件、最終的に助成が決まったのは4件。2件分、助成枠を残した形ですが、審査委員会で審議して基準に満たなければ助成対象とならないそうです。助成枠6件に対して、2次審査に臨んだのが7件だったため、一部では「ほぼ楽勝」との見方もありましたが、決して予断を許さない状況だったことが証明されました。
同じ案件での申請は3回まで認められるため、次年度も自立支援講座での申請は可能ですが、厳しい審査が見込まれます。その意味でも、今年度の自立支援講座は昨年度以上の成果を見せなければなりません。
昨年度の助成決定通知は5月の連休明けでしたが、今年度は統一地方選挙の影響で2次審査(公開プレゼン)の日程が1週間ほど繰り上がって4月16日(日)となった関係で、助成確定も連休前となったようです。その結果、平成23年度の事業計画(予算)も早く固められることになりました。

東京・北区の「地域づくり応援団事業」2次審査(公開プレゼン)

4月16日(日)、東京・北区の滝野川文化センターで開催された東京・北区の平成23年度「地域づくり応援団事業」助成の2次審査(公開プレゼンテーション)に臨みました。勉強レストランそうなんだ!!は、昨年度(平成22年度)、自立支援講座に対してこの助成金を受けましたが、今年度もこの自立支援講座で助成を申請、1次審査(書類審査)を通過、2次審査に進みました。
公開プレゼンにあたり、昨年同様、パワポを準備しましたが、1次審査通過通知から2次審査まで2週間と、昨年より1週間も短く、準備は突貫工事。当日朝まで、発表者の理事長は自宅でリハーサルを繰り返しました。
2次審査を受けるのは7団体(案件)。昨年の13団体に比べると大幅減。どうしたのでしょうか。それはともかく、当日は12時半にスタート。勉強レストランそうなんだ!!は4番目の13時35分からです。持ち時間はプレゼン8分、質疑応答10分です。プレゼンでは、昨年度の成果と今年度の必要性を訴えました。ただ理事長の“力”が入りすぎたのか、途中で時間切れとなってしまいました。もっとも、昨年度の活動の成果の説明はしっかり終えていたので不幸中の幸いでした。
質疑応答では昨年と同様「話します自分の仕事のこと」のビデオ制作費の高さを指摘されました。確かに、素人でも結婚式や運動会のビデオが簡単に上手に撮れるようになった今日、助成申請で計上した予算額は素人感覚的には高く思えるかもしれません。しかし、このビデオのディレクションは秋吉渉氏、カメラは清水八重子氏。いずれもプロです。事前の準備、当日の撮影、そして編集作業(音入れ、字幕スーパー含め)には非常に手間がかかっており、運動会や結婚式の素人ビデオのレベルとは全然異なります。NHK教育テレビで放映しても恥ずかしくないレベルのドキュメンタリー作品となっています。だからこそ、人びとの感動を呼ぶものであることを話しましたが、審査員の胸にどれだけ届いたかは分かりません。
自立支援講座は、この5年間で通算24回実施しました。この講座の密度の濃さにスタッフは自信を持っていますし、参加者もリピータが4割以上を占める回も1回ではありません。しかし、運営的にはまだまだ助成金が必要です。これまで毎年何らかの助成を受けながら実施してきました。「地域づくり応援団事業」の助成が受けられるかどうかの結果発表は5月の連休明けです。残念ながら助成が取れなければ回数を減らす、などの処置はとらざるを得ない状況です。

「話します自分の仕事のこと」開催、勤続20年の人などお二人が発表

平成22年度はなします自分の仕事のこと
まず、2011年3月11日(金)の東北関東大震災で被災された方には心よりお見舞い申し上げます
東京・北区の助成を受けた平成22年度の自立支援講座は、3月20日(日)の「話します自分の仕事のこと」が最終回でしたが、3月11日に大震災があったため、開催可能か、また可能としても開催すべきかの判断が、災害の甚大さが急速にはっきりしてくる開催日直前まで下せずにいました。しかし最終的には、開催可能な状況の中で、自立支援講座が狙っているテーマが普遍性の高いものであり、中止することが社会的に大きく貢献することにはならないと判断、3月18日(金)に開催を最終決断しました。
平成22年度はなします自分の仕事のこと
当日は午後2時から滝野川会館小ホール(東京・北区)で開催されました。「話します自分の仕事のこと」は今回で5回目。毎回、自ら自分の仕事について語り、プロの映像制作者、秋吉渉氏と撮影の清水八重子氏が取材・編集した1日の働く様子のビデオを上映します。毎回2人登場しますが、今回は、東京・恵比寿にあるスリランカ料理 & BEER「Palette」に勤務する佐藤雅敏さんと、すかいらーくグループのカフェレストラン「ガスト」に勤務する楠美将さんでした。
佐藤さんは、青鳥養護学校(現・東京都立青鳥特別支援学校、世田谷区)の高等部を卒業してこのお店に就職、以来20年勤務、「辞めたいと思った時もあった」そうですが、今や主任として欠かせない戦力となっています。一方、楠美さんは、旭出学園(東京・練馬区)の高等部専攻科を卒業して勤務し始めてから3年ですが、同店のキッチンチーフから「いないと困る」と言われるほどの戦力。お二人の働くビデオからは、やりがいを持って楽しく働いている様子がひしひしと伝わってきます。
平成22年度話します自分の仕事のこと
10分ほどの休憩を挟んで、まず「Palette」店長の南山達郎さんが、知的障害者就労の考え方とこれまでの実績について語り、次いで株式会社すかいらーくの人事本部人事政策部教育・採用担当の山本優夏さんがすかいらーくグループの知的障害者雇用の考え方と現状を紹介しました。いずれも実績に裏付けられたお話で説得力がありました。
会場を埋めつくした約60名は、約2時間半にわたるご本人のお話、ビデオ、勤務先の方のお話にうなづいていました。東京・北区の助成を受けた平成22年度自立支援講座はこれで全回終了しました。
なお、詳報を近日中に勉強レストランそうなんだ!!のホームページにアップする予定です。(事務局長)

「事実」、「体験」、「信念」に裏付けられた強烈なインパクト

大山会長の講演風景
雇用している社員の7割が知的障害者として知られるチョーク製造大手の日本理化学工業の会長、大山泰弘氏を講師に迎えて、平成22年度第6回の自立支援講座を、1月23日(日)に滝野川文化センター(東京・北区)で開催しました。テーマは「『働く幸せ』の実現にむけて」。参加者はスタッフを含めて約50名。保護者、企業、福祉関係、など実に多様です。大山氏のお話は、前半と後半に分けて全90分にわたりました。声高ではありませんでしたが、「事実」、「体験」、「信念」に裏付けられたお話しは強烈なインパクトがあり、一つ一つ胸に迫るものがありました。参加者の一人は講演後、「思わず涙が出た」と話していました。
大山会長は、50年前に2人の知的障害の方を職場に受け入れた時、初めは「知的障害のある人は、施設に入ったほうが守られて幸せだろう。それなのに何で、この人達は厳しい仕事をしたいのだろう」と考えていたそうです。しかし、偶然 法事で言葉を交わしたある住職さんの「人間の究極の幸せとは、人に愛され、褒められ、役に立ち、必要とされることなんです。施設に入って守られることではないんですよ」との言葉に目から鱗の思いだったそうです。
それからは「企業は人を幸せにするためにある」という信念のもと、“思い”と“経営”を両立させるため経営に邁進します。それは知的障害のある従業員を、“お客さん”ではなく戦力にする道のりでもあったのです。例えば数字や文字の読めない人のために、色別の容器と錘(おもり)を用意して色合わせだけで計量ができる工夫をするなど、現場社員の理解力に合わせて全工程を組み上げていきました。そうした工夫の一方で「なんで障害のある人と給料が同じなんですか?」という不満にも応えなければならなかったそうです。
大山会長はこうも言います。「企業は人を幸せにするためにある、まして日本の中小企業の手取り足取りで作業を教える職人文化は文字の読めない人に作業をしてもらうのに役立っているのです」と。これはある外国の記者が工場取材をした時の話で気付いたことだそうです。その記者から出た話とは「日本の職人文化は知的な障害のある人にも仕事を教えていくことが出来る。西洋のマニュアル文化ではそれが出来ない」のだそうです。そうなると、日本の職人文化ってすごいということにもなりますね。共生という要素を内包していることになります。
大山会長は、参加者皆さんに“宿題”も出しました。大山会長が、ヨーロッパ各国の福祉制度を視察して知った「ベルギー方式」こそ、日本が見ならうべき制度と思ったそうです。ベルギー方式とは、雇用の対象になっていない重度の障害者を企業が雇用すると、国がその企業の代わりに障害者に最低賃金を支払うというものです。そうすると障害者は地域社会で自立でき、国は福祉施設でケアするより経費節減になり、企業も彼らに少しでも役に立ってもらえればプラスになり、障害者を抱える家族にとっても良い。三方一両得どころか“四方一両得”の制度になるのです。そのベルギー方式を参考にした日本方式を導入したらいい、それには保護者を含め様々な立場の人が声を上げて欲しい、とのことでした。
なお、さらに詳しいお話は、同氏の著書「働く幸せ」にあります(Amazonなどで買えます)。また日本理化学工業は、障害者雇用推進のためにも、粉が出ない新しい筆記具「キットパス」を次世代の主力製品に育てています。(理事長)

理事会で初めて電話会議を活用、きりりと締まった会議に

1月16日(日)、当NPO法人の理事会がありましたが、初めて電話会議を活用、思ってもいなかった効用を実感しました。
理事会は、1~2ヶ月に1回、実施しているのですが、なかなか全員の理事が集まれないのがいつも悩みです。遠方に住む理事あり、外せない仕事が重なるケースもあり、ということで毎回全員が揃うのは難しいのが実状です。
この日も元々全員は揃わない予定だったのですが、加えて、直前まで出席を予定していた理事の一人が、突然腰痛に襲われ自宅から移動できなくなりました。「何とかできないか」と考えたこの理事、「電話で聞くだけでもしたい。必要な資料はFAXで送ってほしい」と連絡してきました。
この話を聞いた事務局長は、2009年11月15日の「おいしい社会科」のことを思い出しました。この時のテーマは「沖縄」。ゲスト講師として琉球大の高良倉吉教授が協力してくれることになったのですが、さすが東京までわざわざ来て頂くわけにはいきません。那覇の自宅から電話による遠隔講義をして頂くことになりました。教室の電話にアンプをつないでスピーカーから高良先生の声が参加者みんなに聞こえるようにし、沖縄の基地問題など沖縄在住の高良先生ならではの生々しい話をやさしく解説していただきました。
その時の仕組みを、この理事会でも活用すればいいと考え、急遽、電話ケーブルを延長、電話器を会議テーブルに置けるようにしました。会議が始まると、教室にいる理事はマイク代わりの受話器を次々とつかんで発言、スピーカーからは、自宅にいる理事からの発言が流れます。
始まる前は、初めてのことでもあり、上手く意思疎通が出来るか不安でした。相手の表情が見えない中で話し合いなど出来るのだろうか、コミュニケーションは言葉だけでなく表情や仕草も含めて成り立つもの、という思いが強かったからです。
しかし、そんな心配は杞憂でした。とても充実した会議になったのです。理由は、貴重な時間を共有しているという緊張感があり(電話料金もかかる!)、話す前に、出来るだけ発言内容を整理し言葉も選んで正確に伝えようとしたからです。また、相手を目の前にしていないからこそ少し言いにくいことも言えたようです。理事会は、これまで、ややもすると雑談に脱線しがちな面もありましたが、今回は軽快な中にもきりりと締まった会議となりました。(理事長)