勉強レストランそうなんだ!!がこれまでに行ってきた自立支援講座。

テーマ毎に自立支援講座の記録をご紹介しながら、放課後等デイサービス指導員が読み返し、さらに質の高い支援につながるヒントがないか探してみようと思います。

ちなみに本記事中で紹介される人名や役職は参照元記事の公開当時のものです。

 

今回取り扱うテーマは『性』についてです。

性をテーマとした自立支援講座はアーカイブに9回分の記事が公開されています。

 

 

第21回 「人生を豊かにする性と人間関係②―本人向け1」(2010.9.26)

http://so-nanda.com/2010/09/28/9/

 

講師は東京都心身障害者福祉センターの山本良典氏。さらに女優の三村伸子さん、応援の日本体育大学の学生2名などをお招きし、マナーについての事例をロールプレイで演技していただいたようです。

山本氏の講演から始まり、「身だしなみ編(男性バージョン)」、「身だしなみ編(女性バージョン)」、「迷惑電話編」、「人の話に割り込む編」の4つのロールプレイを実演。

悪い例を見てから山本氏と参加者が討議し、次に良い例を演じるという流れのようです。

 

 

第22回 「人生を豊かにする性と人間関係③本人向け―2」(2010.10.24)

http://so-nanda.com/2010/10/28/13/

 

続くこちらも東京都心身障害者福祉センターの山本良典氏に登壇いただき「プライベートとパブリック」、「好きな人ができたら」などをテーマに講義。

女優の三村伸子さん、応援の日本体育大学の学生によるロールプレイを用いた事例検討も行い楽しい雰囲気で終了したとのことです。

 

第27回 「性と人間関係―家族、支援者、企業向け」(2011.9.25)

http://so-nanda.com/2011/10/05/36/

 

同じく東京都心身障害者福祉センター地域支援課の山本良典氏による講座ですが、より深度の深い回になった様子です。

「障害者の性をどうとらえるか」「障害者の性に対する認識の変化」「性の支援内容」などから「支援付き結婚」の話など、興味深いトピックが続きます。

後半の質疑応答では〝切実〟との形容。

山本氏の語るポイントは、「知的な障害があっても性的なニーズは基本的権利として認められなければならないこと」「知的な障害者の性ニーズはともすれば軽視ないしは無視されていること」「性のニーズを保障するためにも発達に応じた適切な支援が必要なこと」「性の問題は究極は人間関係の問題であること」等々です。

 

第28回 「性と人間関係―本人向け」(2011.10.23)

http://so-nanda.com/2011/11/04/37/

 

前半部は、家庭、職場、男女の交際などさまざまな場面の写真が入ったパワーポイントの教材を用いて、社会マナーとして適切か不適切かを参加者に問いかけます。

後半は女優の三村伸子さんによる好評のロールプレイ。

「人をじろじろ見る編」「自分勝手なわがまま編」「パブリックな場所でイチャイチャする編」などの悪い例を見てから、どこが悪かったのか、どうすれば良かったのか参加者みんなで検討会をします。

そして出てきた改善意見を踏まえて良い例のロールプレイを演じます。

山本氏の話では知的な障害があっても結婚しているカップルも増えているそうです。その場合には周囲の支援が不可欠ですから、どのような支援が必要なのか、また支援体制をどのように作っていけば良いのか、など考えなければならないことがたくさんあります。

 

 

第33回 「私たちはこうして知り合い、結婚し、生活している」(2012.10.28)

http://so-nanda.com/2012/11/28/72/

 

山本良典氏の講座も6回目のようです。加えて結婚生活8年を迎える障害者の結婚カップルが登壇してくださったそうです。

山本氏が事前に用意した質問をお二人に回答していただく形式。

「二人のなれ初め」、「相手の好きなところ」という定番の質問から、「どのような生活を送っているのか?」、「子供はほしいか?」といった質問まであります。

お二人の回答する様子からは仲の良さが垣間見られ、会場から笑いが起こる場面もありと、終始和やかに進行したようです。

筆者から夫氏の「結婚してからは一人ではないと感じる」という言葉が紹介されていて、私も入籍してまだ一年経っていない身の上として共鳴するものを感じました。

 

後半は山本氏の講演で、パワーポイントを使用して「知的障害者の男女交際・結婚の支援」についてです。

・「支援」とは障害者自身が自分の存在を認め、自己肯定感や自尊感情を高められるものでなければならない。

・「基本的人権」のニーズとして「障害者の交際や結婚」は認められるべきである。

・「自分の身の回りのことも出来ない人間が結婚など考えらない」という否定的な視点を持つのではなく、「基本的人権から出たニーズをかなえるためには何ができるのか、すべきなのか」という視点が重要である。

・「失敗」することは誰でもあることであり、失敗を認めないことは生活を制限することになり、「失敗する権利」の侵害につながる。

この山本氏の講演を聞いた一方で筆者が「理想論としてはそうだが、現実的にはそうもいかない面もある」と正直に書き記しているところがとても信用できます。

〝「福祉の充実は重要」という認識は持っていても、その「福祉に仕事として従事」することには抵抗があるというのが大半だからなのではないか〟という彼の問題意識や〝障害者との接点がなくなり「自ら関わっていこうとしないと、まったく知らない世界のままである」ということに歯がゆさを覚える〟という記述にも通底しますが、理想を現実にするためにもまずは理想も、現実も、どちらのことも知る必要があります。

理事長による追記にも〝レジメを読んだだけでは理想論しか伝わってこない。やはり会場でのやり取りを聞いてこそ伝わってくるものがある〟とあります。

現場に居れば一目瞭然。なれど居ることそれ自体が奇跡であるのだと噛みしめます。

 

第38回 「知的障害者の男女交際と結婚への支援」(2013.11.24)

http://so-nanda.com/2013/12/12/93/

 

「結婚します~ある知的障害者の場合」のビデオ上映から始まります。知的障害を持つ男女が、出会い、結婚を決意し、仲間の障害者とともに結婚式の準備をし、当日に至り、さらにその後日の様子という内容のようです。

この記事の筆者もまた〝知的障害を抱えている人々も、みんなと同じように結婚をして、子供を授かりたいと思っていることを筆者は再認識させられました〟と正直に記していて好感が持てます。

山本氏の講演では「障害は本人の問題ではなく、社会環境の問題」という、福祉に関わる人間なら必ず耳にしたことがある言葉が強調されています。

社会環境が適切に整備されていてサポートが十全であれば、障害の有無に関係なく幸せな結婚生活を営むことが可能だということです。

優生学的な考えや新型出生前診断の報道についての言及もあります。

「失敗を恐れず」、「知的障害者の性の問題を否定しない」、「知的障害者の問題はみんなの問題」、という言葉で山本氏の講演については締めくくられております。

 

第40回 「性と社会マナー」(2014.12.6)

http://so-nanda.com/2014/12/17/104/

 

「困った行動」と「困っている行動」の違いについての確認からはじまります。

性的行動だけでも一般化の難しいindivisualな体験であるにも関わらず、それが障害児のものとなると、より一層〝本人がどうしてよいかわからず困っている〟可能性は高いです。

また機会損失の問題として、障害児が性を肯定的に学ぶ場が、学校にも家庭にも社会にも意識や誤解など問題があり機会自体を得られていないようです。

発達に応じた支援として、小学部段階では「性指導はしつけから始まる」とし、食事、排泄など基本的生活習慣の確立から始め、「男女トイレの区別と使い方」などが具体例に挙がります。

中学部段階では「成人への準備」として生理の手当、マスターベーションについて触れ、「対人関係を豊かにする」ため親離れ・子離れを強く意識すべきとのことです。

高等部段階は、社会生活・職業生活への準備が始まり、適切な人間関係の取り方など社会的スキルの獲得が求められ、具体的指導内容として男女交際、性犯罪、性被害、性交(妊娠、避妊)、結婚・育児などの話にまで及びました。

プライベートとパブリックの違いをどう教えていくかは放課後等デイサービスの指導員としても課題であります。

 

第47回 「知的障害のある子供の『性』を考える」(2017.2.11)

http://so-nanda.com/2017/02/13/2280/

 

この記事での山本氏は「障害のある人の性の支援は対人関係を拡げ、地域生活を豊かにする」とし、発達段階に応じて支援をすることで大人として生きる力を育て、QOL(生活の質)を高めると仰っています。

発達段階に応じた具体的な支援について学ばせていただきたく存じます。

小学校段階は、しつけ又は基本的な生活習慣の確立。具体的には、男の子と女の子、大人と子供の違い、清潔やトイレの区別と使い方などに関する支援です。

中学部になってからは、女性であれば生理の手当、男性であればマスタベーションについて教えることが必要であり、また親離れ子離れをする時期でもあります。具体的には男性と女性の身体や心の変化や好きな人ができたら、など想定して地域生活の中で気を付けなければならないことなどについて支援が必要です。

高等部段階では。適切な対人関係の取り方や社会マナーやルールをしっかりと覚える時期になります。男女交際やその中で気を付けなければならないこと、もっと踏み込んで性交や避妊、結婚といった事柄も教えていきます。

また、きょうだいや親子であっても異性の場合は発達段階に応じて男女の距離を踏まえた関係をとっていくことが必要です。

例示されているのは、女親といつも女性トイレに入っている習慣の男児が成長して、一人で女性トイレに入ってしまうものです。トラブルの原因として想像に難くありません。

2005年に施行された発達障害者支援法への言及もあり、知的な障害のない発達障害の人々についても支援の対象になりました。

言葉によるコミュニケーションの困難さ、こだわりの強さ、などの特徴を持つ彼らですが、知的な障害の有無を問わず性に関しての課題はあり支援が行き届いていない現状があります。

性器いじりやマスターベーションを問題行動としてではなくプライベートな場とパブリックな場の区別をしていくことが大事であるようです。

究極的には、相手の気持ちを大切にして自分の気持ちも表現してより良い人間関係を築くことこそが、性の支援の目標と山本氏は話しを結んでいます。

 

第50回 「障害のある子の性と支援」(2017.11.28)

http://so-nanda.com/2018/02/01/1515/

 

〝障害のある子の性をどう考えるのか?〟という問いから始まります。

障害のある子の性に関する行動を問題行動やタブーと捉えるのではなく、地域生活を豊かにする肯定的な支援をもって、対人関係を広げて豊かな地域生活を送ることにつなげていくものと捉えていきます。

精神年齢でなく生活年齢で対応するというのがキーワードな気がします。

マスターベーションも性器いじりも否定するのではなく、パブリックな場面とプライベートな場面を区別して、プライベートな場面ではOKとする

障害のある人の性的行動がただただ禁止されるのではなく、性的表現の仕方や大人としての社会的行動の取り方の指導が必要です。

行動改善のためのポイントは2つ。

 

・明白で、具体的で、視覚化されたルールを作って、見通しを持てるようにする。

・よくない行動を叱るより、よくない行動をしなかったときに褒めるなどして、肯定的な言葉を使ってまめに褒める

 

山本氏によれば、結婚の条件も2つだけ。①頑張って生きていること、②相手を思いやることが出来ることとしています。あとは、適切な支援があることが必要といいます。

入籍して一年経たない私としては、相手を思いやることの難しさが身に染みています。

 

障害のある人の性に関する権利は6つあると指摘しました。

 

・知らされる権利(理解しうる限り、性に関する具体的な説明を受ける)

・教育される権利(人間関係をよくするための学び)

・性を表現する権利(年齢に応じて、性の衝動を表現する)

・結婚する権利

・親になる権利

・必要に応じて支援を受ける権利

 

「障害者が暮らしやすい環境は誰もが暮らしやすい社会である」という結びの言葉は、これからの時代、特に芯を食ったものになると思います。

不便があるから便利にしようという工夫が生まれる。未だに木の棒を藁に擦って火を起こしている人なんていないのだから、障害のある人もない人も便利な世の中になってほしいと思いました。

(指導員:磯貝佳史)