勉強レストランそうなんだ!!がこれまでに行ってきた自立支援講座。

テーマ毎に自立支援講座の記録をご紹介しながら、放課後等デイサービス指導員が読み返し、さらに質の高い支援につながるヒントがないか探してみようと思います。

ちなみに本記事中で紹介される人名や役職は参照元記事の公開当時のものです。

 

今回取り扱うテーマは『防災』についてです。

防災をテーマとした自立支援講座はアーカイブに2回分の記事が公開されています。

 

第37回 「知的障害児・者の防災準備」(2013.9.29)

http://so-nanda.com/2013/10/06/92/

 

北区危機管理室防災課防災計画係長の岡部毅氏を講師にお招きし、首都圏に震災が起きたときの北区での被害について解説。

さらに実際にどのようなものを備え、地震発生時にどのように行動すれば良いかをお話いただきました。

避難場所と避難所の違いについてこの記事で初めて知りました。

避難場所は、かつて関東大震災で多くの人が火災旋風で亡くなったことを教訓に東京都が制定したもののことで、とりあえずの生活の場となるもの。一方で避難所は町会などの自主防災組織、学校職員などが自主的に開設・運営するのだそうです。

続いて障害を持つ人たちの防災についてですが、災害時に備えて障害者は、行政(北区民なら北区役所)の災害時要援護者名簿にあらかじめ登録しておくことができるようです。

この記事中ではヘルプカードが導入される前後のようですが、緊急時の連絡先や支援内容を記載しておくことも大事ですね。

避難所生活は障害がなくてもストレスが多い環境です。定期的に要援護者の容態を確認する「福祉避難室」が設けられたり、通常の避難所とは別に、要援護者向けに福祉避難所を設ける体勢について紹介されています。

日頃通いなれた通所施設を通所型福祉避難所として運用する話など、放課後等デイサービス指導員としても興味深い視座を発見いたしました。

 

第45回 「知的障害児・者の防災準備」(2016.9.17)

http://so-nanda.com/2016/10/13/1544/

 

先述のテーマと同タイトルですが、講師は公益社団法人市民防災研究所主任研究員の伊藤英司氏です。

まず東日本大震災の被災地を調査した知見から、

・自分の命は自分で守るという意識を一人一人が持つこと

・日頃の“備え”と“訓練”は、災害時に必ず生きる

上記2点を重要項目として挙げています。

備えというのも、避難所で一時的に生活するための備えを考えるのではなく、避難所で生活しなくて済むための備えが必要というのは蒙が啓かれました。

具体的には、

・地震に強い住まいに住む

・家具の転倒・落下移動の防止

・初期消火対策

・出火防止対策

・被災後の暮らしを守るための備蓄、トイレ対策

・ライフラインが停止した時に役立つ知識を持つこと

とのことです。

東京という大都市で被災した場合を考えると、避難所が混雑を極めるのは想像に難くありません。いかにして避難所生活をしないように備えて訓練するかが大切なようです。

東日本大震災以降、「津波てんでんこ」という言葉を耳にする機会も増えました。記事の最終節をそのまま引用いたします。

〝一見他人に構わず逃げろという利己主義に誤解されやすいのですが、この言葉には「自分の命は自分で守る」ことだけでなく、「自分たちの地域は自分たちで守る」という主張も込めてあるそうで、緊急時に災害弱者(子ども・老人)を手助けする方法などは、地域であらかじめの話し合って決めておくよう提案しているそうです。つまり、標語の意図は「他人を置き去りにしてでも逃げよう」ということではなく、あらかじめ互いの行動をきちんと話し合っておくことで、離れ離れになった家族を探したり、とっさの判断に迷ったりして逃げ遅れるのを防ぐのが第一であるとのことなのです。〟

私も11年前に宮城の町で、首まで津波に浸かったおばあさんや、目の前で両親を浚われてしまった子どもたちの話を伺いました。

あのとき”被災者”と呼ばれていた彼らがどんな表情をしていたか知っている私が、すっかり安穏としてしまっていることを恥ずかしく思う反面、だからこそ取り越し苦労してでも備えておかなければならないと思いました。

(指導員:磯貝佳史)