2018年2月24日(土)、東京・北区の滝野川文化センターで第51回自立支援講座を開催しました。テーマは、「『障害年金』をもらい損なっていませんか?」、講師は王子障害年金サポートセンター所長の赤岩幸一氏。当日のお話を以下に紹介します。

知的障害、発達障害などを含めて多くの病気・障害が対象の「障害年金」。しかし認知度が低く、せっかく受給資格がありながら、もらっていない人がたくさんいます。

赤岩氏からまず、公的年金の仕組みの説明がありました。日本に住んでいる20~60歳までの人すべてが加入する国民年金(基礎年金ともいう)、会社員や公務員には厚生年金があります。さらに障害年金、遺族年金などがあります。

◆障害年金を受給するにはまず請求
本日のテーマである障害年金とはどのようなものなのでしょう? 「病気やけがで働くのが困難になったとき」に助けてくれる年金です。ただし、受給には請求が必要です。

障害年金は具体的にいくらもらえるのかは、国民年金と厚生年金、どちらに入っているかによって異なります。障害の等級によっても金額は異なります。扶養義務のある子供がいるかによっても異なります。一般的には国民年金を受給していると障害2級で779,300円プラス子の加算、厚生年金の場合は障害3級で報酬比例の年金額(最低保障584,500円)です。

受給事例に話しが移りました。精神障害のうつ病の30代男性の例。精神障害には障害年金の対象にならない病名があり、診断書に対象になる病名を書いてもらうことで受給できるそうです。これは虚偽の診断名を書いてもらうということではなく、同じ症状でも診断名によっては不支給になってしまうので気を付けて下さいとのことでした。

広汎性発達障害・強迫性障害の20代男性の例、この方は不支給になってしまったのですが、その原因は病歴・就労状況など申立書のご自分の記入欄に出来ることをたくさん書いてしまったのです。これも虚偽というのではないが、ご自分が記入する場合、出来るように書いてしまう場合が多く、実態とはかけ離れていることが多いのです。そしてこんなに出来ることがあるならば年金に・該当せずという判断が下って不支給になってしまうことはしばしばあるそうです。

◆請求できるのは20~64歳、初診日の確認も大切
続けて障害年金受給のポイントについて説明がありました。まず、請求できる年齢。20~64歳の方が請求出来ます。次に大切なことは初診日の確認。初診日とは、その病気やケガで初めて診療を受けた日です。初診日の確認は大切です。初診日が起点となって障害の認定が行なわれ請求に繋がるからです。

初診日の前に保険料を払っていたでしょうか? そしてそれは厚生年金でしょうか? それとも国民年金でしょうか? 初診日から様子見の期間があります。1年6ヶ月です。その期間が過ぎると障害が認定されます。ただし例外もあるので(人工透析など)よく調べるが大事とのことでした。障害認定日時点と現在の障害の状態はどうでしょう? その障害の状態は続きそうですか? 障害年金受給には障害の程度も大切な要素です。1級、2級、3級で年金額にも違いが出ることを理解して下さい。

続いて申請に必要な書類の説明がありました。

<受信状況等証明書>
初診日を証明する書類です。障害の原因又は誘因となった傷病で初めて受診した医療機関の初診日を明らかにすることが求められます。
<診断書>
病気別に8種類あり、障害年金専用の用紙を使用すること、日常の生活状態を書いてもらう欄もあるので医師には正直に困っていることを話して書いてもらうようにすることが大事とのことでした。
<病歴・就労状況等申立書>
発病したときから現在までの経過を年月順に期間を開けずに記入していくものです。病院、就労状況、日常生活などについて記入するものなので診断書との整合性が大事です。その他の書類としては、住民票、障害者手帳のコピー、戸籍謄本、在学証明書、預金通帳コピー、所得証明書、交通事故証明書などが場合に応じて必要となります。

障害年金は、1級から3級までありますが、どの級に該当するかは、手帳(身体障害、精神障害、療育手帳)で証明されている級や度数で決まってきます。

続いて障害年金の申請にあたっていくつかの注意点についてお話がありました。まず、「20歳前傷病」の留意点としては、20歳前と20歳の時に必ず医師の診断を受けておくこと、母子手帳や病院からもらった書類など保存しておくこと、初診日に注意することなどです。近年、注目されている発達障害については、診断書、申立書の書き方が要注意とのことでした。

最後に、社会保険労務士に依頼するのも一つの方法であるということで障害年金についての講座は終了しました。