【第50回自立支援講座報告】「障害のある子の性と支援」、静岡県・伊東で開催

認定NPO法人勉強レストランそうなんだ!!の自立支援講座は、主に学齢期を過ぎた障害のある人々やその周囲の人々を対象として様々な課題をテーマとして取り 上げてきました。その中で回数多く取り上げたのが、障害のある方の“性”に係わるテーマでした。今回、記念すべき第50回目の同講座は静岡県伊東市にある「放課後デイサービス勉強レストランそうなんだ!!伊東」の教室で11月28日(2017年)に開催されました。伊東の教室の保護者のニーズに答えて、テーマは「障害のある子の性と支援」。講師は、東京都心身障害者福祉センターの山本良典氏です。

山本氏のお話を簡単にまとめてみます。

まず、障害のある子の性をどう考えるのか?という視点からお話は始まります。障害者の性に対する認識は、障害への理解が進んでいくにつれて変化します。障害のある子や人々の性に関する行動は問題行動でもタブーでもなく、地域生活を豊かにする肯定的な支援を得てこそ、対人関係を拡げて豊かな地域生活を送ることにつながります。

障害のある子や人々に対して、彼らの性の発達を肯定的に受け止めて、なお彼らの精神年齢ではなく、生活年齢で対応することが必要なのです。

そうはいっても、性の支援は難しいものです。保護者や学校の教師でもマスターベーション、性交、妊娠といった話しになるととても指導しにくいというアンケートもあります。

しかし、性教育はしつけから始まり、清潔を保つことの重要性や自分の身体についての正しい知識を持ち、ひいては大人としての社会の中での責任の取り方を学ぶ教育なのです。

山本氏は、食事風景やトイレ使用、親子関係、兄弟関係などさまざまな場面を例にとっては適切な場面と不適切な場面に分けていきます。分かりやすい説明です。

マスターベーションも性器いじりも否定するのではなく、パブリックな場面とプライベートな場面を区別してプライベートな場面ではOKとすることなど知的な障害のある人にとって分かりやすい説明がありました。

障害のある人の性的行動がただただ禁止されるのではなく、性的表現の仕方や大人としての社会的行動の取り方の指導が必要、それなのに禁止のみされて指導がされていない現状に山本氏は警鐘を鳴らしています。

適切な指導がなされない上に障害があることへの劣等感や対人関係のストレス、愛情欲求など様々な要因が重なって性的な逸脱行動につながります。

性に係わる問題は生活全般に係わる問題で、禁止のみしても根本的な解決には至らないとします。

性的な行動を生活全般の中で見直して、性の問題が生じやすい環境を改善すると共に、生活の内容や人間関係を豊かにしながら、肯定的な対応が大切だと山本氏は強調しました。

不適切な環境や対応が続くと、性被害に遭ったり、あるいは加害者になったりも起こりえます。

行動改善のためのポイントは

  • ・明白で、具体的で、視覚化されたルールを作って、見通しを持てるようにする。
  • ・よくない行動を叱るより、よくない行動をしなかったときに褒めるなどして、肯定的な言葉を使ってまめに褒める――です。

 

その先に、避妊や結婚が見えてきます。障害のある人々の結婚については本人も周囲もマイナス要因ばかり頭に浮かんで、とかく消極的になります。しかし、山本氏によれば、結婚の条件は2つだけ。①頑張って生きていること、②相手を思いやることが出来ること――の2点につきるといいます。後は、適切な支援があることが必要といいます。

障害のある人の性に関する権利は6つあると指摘しました。

  • ・知らされる権利(理解しうる限り、性に関する具体的な説明を受ける)
  • ・教育される権利(人間関係をよくするための学び)
  • ・性を表現する権利(年齢に応じて、性の衝動を表現する)
  • ・結婚する権利
  • ・親になる権利
  • ・必要に応じて支援を受ける権利

 

最後に、障害者の問題はみんなの問題というスライドの文がとても印象的でした。

「障害者が暮らしやすい環境は誰もが暮らしやすい社会である」

(理事長・記)