【第49回自立支援講座報告】「もしものときのための“信託”」

10月28日(2017年)10月28日、東京・北区の滝野川文化センターで第49回自立支援講座が開催されました。テーマは「もしものときのための“信託”」、講師は某信託銀行勤務の青年です。

講師は某信託銀行勤務の青年と書きましたが、彼はかつての勉強レストランそうなんだ!!の「夏の発見教室」でリーダー的役割を果たした人物です。身近に障害のある人がいることもあって、信託銀行を就職先に選んだとのことです。

話しの内容は、大きく3つ。

まずは、そもそも「信託」とはなんぞやというお話です。

次に、現在ある「信託」の種類について。

最後に、「信託」商品を扱う上での注意点です。

まず、「信託」とは何なのでしょう。

「信託」とは、委託者が信託目的に従って、所有する金銭や土地などの財産を自分あるいは大切な人のために、信頼する人や専門家に託して運用・管理を任せる法的な仕組みであり、信託銀行とは通常の「銀行業務」に加えて、金銭などの「信託業務」と、相続関連業務といった財産の管理・処分に関連する「併営業務」を営む金融機関であるという説明がありました。

信託の形態としては次の5種類があります。

  • ①後見制度支援信託
  • ②特定贈与信託
  • ③特定贈与信託から派生した商品
  • ④遺言信託
  • ⑤家族信託

まず後見制度支援信託ですが、これは後見制度の適用を受けている人が家庭裁判所からの指示を受けて、金銭を信託銀行などに信託し(この手続きは後見人が実施)、信託した金銭の中から生活費の定期交付や医療機関に掛かった場合の臨時支出の交付が行なわれるという仕組みです。後見制度の不正事例件数の増大に伴って出来た制度。後見人が付いていて、しかも家庭裁判所からの指示があった場合に適用される制度です。

特定贈与信託は、障害のある人の生活の安定を目的として、親族などが信託銀行などに金銭財産を信託するもの。愛の手帳1~2度の特定障害者が対象の場合は6,000万円まで、それ以外の障害者を対象としては3,000万円まで贈与税が非課税になります。また、対象となる障害者が死亡した場合はその人の相続人か、あるいはあらかじめ指定しておくと障害者団体や社会福祉施設への贈与も可能とのこと。他にもいくつかの条件があり、各信託銀行での窓口相談が可能とのことでした。

3番目に、特定贈与信託から派生した各銀行の商品の紹介がありました。1つの例として三菱UFJ信託銀行のパーソナルトラストの紹介がありましたが、受託金額が3,000万円以上と高額であるのも事実。

ついで遺言信託について説明がありました。

公正証書遺言をまず作成することが前提。弁護士を通したり、公証役場で直接作成することも出来るが遺言書そのものの保管や執行までは行なってくれない場合がほとんど。信託銀行では、遺言書の保管から財産に関する遺言の執行までを行なう「遺言信託業務」や相続財産目録の作成や遺産分割手続きなどを行なう「遺産整理業務」といった業務も実施。遺言の内容を忠実に実行するためにも遺言執行者が指定できる遺言信託は有用。

最後に家族信託について説明がありました。高齢社会を背景に、個々の家族の事情に合わせて生存配偶者や子女の生活の安定を図るのが目的。委託者の死後、死亡診断書を提示すれば、相続人がすぐに遺産を受け取れる、遺言書を作成しなくとも簡単な手続きで引き継ぐことが出来るのが特徴。家族信託の商品として三菱UFJ信託銀行の「ずっと安心信託」を例にとって説明。この商品は、平成22年に開始、日経優秀製品・サービス賞において最優秀賞日経ヴェリタス賞を受賞した商品。受託金額は200万円以上。定時定額受け取りを指定すると、残したい人、受け取りサイクル、受取金額などを指定して、円滑な財産の承継や生活講座への入金が可能。他の商品との併用も可能だそうです。

最後に信託商品を利用する上での注意点について

・家族構成や財産背景などによって適合する商品や制度はまったく違うので、「これがお薦めです」とは決して言えない

・障害者以外の家族、兄弟に対しての考慮も必要で、成年後見制度の利用も見極めが必要

  • ・委託者が判断能力を著しく欠いている場合は受託は不可
  • ・考えることが出来るうちに、元気なうちに方向性を考える必要
  • などを挙げました。

私(福喜多)自身がかなり以前から少ないながらも財産の管理や相続について考えていながらいざとなると踏み出せなかったのですが、この講座を聞いて信託銀行を訪れようと決心しました。

(理事長)