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今年度第1回、通算36回目の勉強レストランそうなんだ!!自立支援講座が7月28日、東京・北区の滝野川文化センター(北区滝野川会館内)で開催されました。テーマは、「知的障害者とその家族のための法律と制度入門2013年度版」、講師は、あい権利擁護支援ネットの理事で、社会福祉士・臨床心理士の小嶋珠実氏。小嶋氏には昨年度も同じテーマで講演して頂いたが(昨年の模様はこちら)、この1年で法律や制度の改正、状況変化などが多くあったため、あえて同じテーマでの講演依頼をしました。
自立支援講座は、昨年度まで北区の助成金を受けて開催していましたが、今年度は、「そうなんだ発見教室」とともに、電通育英会の学生の人材育成事業の助成を受けての事業で、企画・運営に学生スタッフが関わっています。
当日は、午後2時開始。当NPOの学生講師でもある平野由希子が司会を担当、福喜多孝事務局長の挨拶に続いて、小嶋氏が登壇。同氏は個人的に10人以上の成年後見人を引き受けているが、「その仕事の中で法律とか制度を学んだ経験を中心に話を進めたい。なぜなら成年後見人は、親御さんと同様、ご本人の立場で交渉や申請をしていく立場なので同じ視点で話ができる」と話を切り出しました。続いて、この1年の障害者福祉関連の法成立・施行、制度の動きを紹介しました。
blog130728-02.jpgそれによると、
 ・2012年10月に「障害者虐待防止法」が施行。成立した翌年度4月から施行される法律が多いが、この法律は、関係機関への周知や関係機関の研修など慎重を期して、半年後に施行されている。
 ・今年1月に「家事事件手続法」が施行、
 ・4月に「障害者総合支援法」と「改正障害者雇用促進法」が施行、
 ・6月に「障害者差別解消法」と「改正公職選挙法」が成立、
また、見逃せない動きとして「生活保護法」の改正があります。「2013年6月の参議院で採決とならず、結局未成立となった」が、国は、「9月の国会で再提案して成立させたいよう」とのこと。
障害者虐待防止法の施行は、障害者の日々の生活に大きく影響するものだが、そもそも虐待の客観的判断が難しく、小嶋氏にも自治体や施設などから、相談を寄せられているという。小嶋氏は、虐待防止法で対象としているのは、身体的、心理的、性的、経済的虐待、放棄放任で、英語でいうアビューズ(abuse、暴力など深刻な虐待)とマルトリートメント(maltreatment、不適切な対応)の両方の概念が含まれていることで、「不適切な対応」の判断をどうするかで、現場に迷いがあるとする。家事事件手続法の改正は、成年後見に関係している。
blog130728-03.jpg障害者総合支援法は、かつての障害者自立支援法を引き継ぐもので、今年4月から発達障害等も意識して障害者手帳の取得をこの法制度の対象要件としていないこと、130の難病の患者を対象とすることなどが施行されましたが、実は大きく変わるのは来年4月から施行される分。具体的には、障害者認定区分の見直しやケアホームとグループホームを一元化し、サテライト型や外部サービスの導入も検討されているとのことです。
改正障害者雇用促進法の施行で変わったのは法定雇用率の引き上げ。例えば一般企業では従来、従業員の1.8%だったのが2%となりました。
障害者差別解消法が施行されるのは3年後の2016年4月。小嶋氏は「通常の法律は成立してからせいぜい半年で施行されることが多いが、それが3年後というのは、どれだけ難しい法律かということ。3年間じっくり考えて施行するということ」と述べた。
公職選挙法の改正は、新聞も賑わしましたが、成年被後見人の選挙権が戻ったことは、権利擁護の視点で極めて重要なことです。5ヶ所(高等裁判所を含む)の裁判所で争われてきました。
このあと休憩を挟む1時間ほど詳細解説に続き、質疑応答に移り、4時半に同講座を終了しました。