去る9月22日、勉強レストランそうなんだ!!の「兄弟姉妹の会」発足に向けたキックオフミーティングが、東京・北区の赤羽会館で開かれました。ここに集まったのは、兄弟姉妹に知的障害者を持つ若い人たちを中心に9名。
この会を開くきっかけとなったのは、6月24日に開催された通算31回目の自立支援講座「知的障害者の兄弟姉妹の”立ち位置”」。この日の参加者に、兄弟姉妹が知的障害者の人が何人かいて、その人達からの思いから自然発生的に開くことになりました。似たような会は他にも存在はするのですが、20代中心の若い人たちの集まりはなかなかありません。似たような境遇であっても、20代にしかわからない、同世代にしか話せない悩みもたくさんあります。
今回はキックオフミーティングということで、まずは今まで他人に話しづらかった兄弟姉妹のこと、自分自身のことをお互いに話し、アイスブレイクすることが中心でした。
ところで、スポーツライターや小学校教諭などで活躍している乙武洋匡さんという方をご存知でしょうか? 生まれつき両腕両脚がない(先天性四肢切断)という障害者としての生活体験をつづった「五体不満足」という本でよく知られています。その乙武さんの本で私が最近読んだものに「ありがとう3組」があります。乙武さんが小学校教諭をされていたときの経験をベースに書いた小説「だいじょうぶ3組」の続編。主人公は障害を持った赤尾先生。その赤尾先生が担任をしているクラスに、発達障害を持つ児童が転校してきます。転校してきた当初は様々な面でクラスメイトと衝突し、主人公も悩みます。しかし、赤尾先生は彼を受け止め、受け入れていくうちに彼の障害を「気持ちのコントロールが苦手なだけ」というように理解することができ、またクラスメイトも彼の短所とともに長所も見つけられるようになります。
私には知的障害のある兄弟姉妹はいませんが、今回のキックオフミーティングで皆さんのお話を聞かせていただき、皆さんは様々な苦労を重ねながらも、障害を持つ兄弟姉妹のことをそれぞれの人生の中で理解し、ある意味「壁を乗り越えて」ここにいらしているのだなと感じました。もちろん、それぞれの兄弟姉妹の将来について、自分自身のこともあるのに深く考えて悩まなければならない辛さは消えません。自分自身の周りの人間関係のことでも難しい問題をそれぞれ抱えています。それでも、兄弟姉妹のおかげで自分のやりたいことが見えたという方もいます。また、兄弟姉妹の存在がきっかけで勉強レストランそうなんだ!!にボランティアとして来ているメンバーもいます。様々なところで自分の経験を生かして活躍していらっしゃる姿を見たり、話を聞いたりしていると、私自身とても刺激を受けます。
始まったばかりの「兄弟姉妹の会」。今後に期待することはたくさんあります。まだ、こうした場に出てくる意味を見つけられていないが同じように悩んでいる人に知ってもらうこと、兄弟姉妹に知的障害者のいる方々に限らず、たくさんの人たちに知ってもらい知的障害者への社会の理解を進めること、若い会だからこそできることがたくさんあるような気がします。(平野祐希子)