NPOを運営していると、「ボランティアとして何かお手伝いしたい」との申し出が結構あります。しかし、法人化6年目に入ってボランティアの難しさ、違和感をますます実感しています。それは受け入れる側だけでなく、ボランティアをする側にも、具体的内容こそ違っても感ずることではないでしょうか。受け入れる側として私が最近思っていることをこのブログで少々長くなりますがお話ししたいと思います。
今年の3月初め頃、当NPOの事務所・教室近くに住む学生さんからボランティアの申し出がありました。いきなり手伝ってもらう前に、ちょうどその月に行われる予定の自立支援講座への参加をお願いしました。まずは法人の活動内容や理念を分かって貰おうという趣旨です。それまでも、ボランティア希望の人に自立支援講座への参加を呼びかけたことはありましたが、結局それっきり連絡がないことが多くありました。しかし、その学生さんは、その講座に参加してくれて、また当日会場で大変良い意見を言ってくれました。4月には北区の助成を受けるための公開プレゼンテーションがあったのですが、その時にも応援で参加。若い人が法人の活動に関心を持ち、肝心な部分に参加してくれたのはうれしかったですね。
そうしたことを経て、この学生さんは、ホンモノだとの思いに至り、5月初めに事務所でどのようなボランティア活動をしてもらえるのか、何が出来るのか、かなり綿密な打ち合わせをしました。その学生さんは、出席しなければならい講義の関係で日常的なボランティアは難しいので、自立支援講座の手伝い、そして大学の夏季休業中にボランティアとしてとして協力していただくことが決まりました。夏季休業中には、知的な障害のある児童・生徒を対象として宿題やその他の活動を支援する「夏の発見教室」を担当してもらうことになりました。もちろん当法人からも担当者を出し、他にも法人の正会員のお子さんで学生さんにも協力を呼びかけるつもりでした。
その後、5月末あたりから6月初めにかけて、「夏の発見教室」が北区社会福祉協議会の助成を受けることが決まったこと、場所取りの関係で日時をはっきり決めなければならないことなどでメールを出したのですが、急にレスポンスが悪くなりました。しかし、場所を予約しなければならず、そのためには日時も決めねばならず、やむなくご家族に連絡を取ってレスポンスを願ったところ、その学生さんから「すみません、日時はそちらで決めて。自分は合わせるから」というメールが来ました。
そのころから私は大いに危惧の念を持ち出したのですが、6月12日の理事会でもその状況が話題となり、本人が現れない場合、この「夏の発見教室」自体をどうするか、ということになりました。理事会翌日、参加を申し出てくれた他の学生さんも含めて「第1回打ち合わせ会を6月26日にします、出席できますか?」とのメールを出しました。その学生さんからは、すぐに「学校が想定外に忙しくすみません。26日出席します。同日の午後実施の自立支援講座も手伝いします」とのメールが来ました。「想定外のことは誰でもあり得ること、無理はしないで、でも連絡はちゃんと下さい」とメールを打ち返し、同時に“大いに危惧”は杞憂だった、良かった、という気持ちでした。
ところが、いざ26日になってみると、何の連絡も無しに彼は来ませんでした。結局、他の学生さんたちで体制を組み、計画を固めました。こんなことあるんですね。これまでもいろんな人がいて、がっかりすることは片手ではすみません。ですが、彼はきちんと自分の意見を持ち、とても誠実さが感じられただけに何があったのか、どう思っているのか、図りしれないがっかりな思いです。
たまたま、ある学生さんの例を中心にお話ししましたが、このようにボランティアにまつわって、がっかりしたこと、違和感を持ったこと、裏切られた思いをしたことは具体的状況は違いこそすれ、1回や2回ではありません。しかし一瞬にせよ、出会いによって得たことに、もっと感謝すべきかもしれませんね。ここで紹介した学生さんで言えば、「夏の発見教室」のきっかけを作ってくれたのですから。(理事長)