先日、教室にW君が来ました。来年2月12日の「そうなんだ祭」の発表の準備をするためです。彼は、勉強レストランそうなんだ!!が、理事長自宅での勉強会時代の頃からのメンバーです。既に就労して3年ほど経っていますが、現在の教室で昨年に再開したグループ授業「おいしい社会科」に参加しています。
「おいしい社会科」は、そうなんだの原点ともいうべきもの。心身障害学級であまり実施されていない社会科を何とか組み立てようと考えて2000年に始めたのが「おいしい社会科」でした。現在は4,5人のグループで学んでいます。月1回のペースで、主に時事問題を取り上げて授業のテーマにします。「オバマ大統領誕生」、「オリンピック開催地はどこ?」、「参議院選挙」、「大地震ハイチ」、「クリスマスの起源」等々です。
そして授業の最後にはその日のテーマにちなんだ食べ物を皆で食べます。前の教室では調理も出来たのですが、現在の教室は狭いので、簡単な調理にするか、作ってもらいます。「おいしい社会科」の調理はUさんが担当しています。買ってくることもあります。「大地震ハイチ」の時は、新宿のハイチ料理の店から買ってきました。
その「おいしい社会科」のグループが「そうなんだ祭」で何か発表しようということになり、それぞれがこれまでで一番印象に残っているテーマを発表することになりました。その中でWさんは国旗に関心があるということが分かりました。それではWさんは改めて国旗について調べて発表内容をまとめてみようということになりました。そこでWさんに休日教室に来てもらったという次第です。
初めは「自信が持てない」、「どのようにまとめたらよいのか、分からない」と言っていたWさんなのですが、私と国旗カードを見ながら話しているうちに、国旗について自分が思っていたことを表現するようになりました。そこで出てきたのが「違う国なのに同じ国旗」、「似ている国旗」、「とても複雑な国旗」等々の面白いテーマです。それを私がメモにしました。
その後、私は他のスタッフと話し込んでしまったのですが、横でWさんが私のメモを見ながら400字詰め原稿用紙に鉛筆を走らせ始めました。いつの間にか原稿用紙6枚が埋まっていました(手書きです!)。驚きです。初めは国旗についてまとめるのを渋っていたのに、原稿用紙6枚です。こんな風に初めは渋々だったり、自信がなかったり、興味のあることはあるのにどのようにまとめたら良いのか分からない人は多い、でもちょっと方向性が見えると歩き出す人もいる。こんな事がうちの法人で出来ることなんだと思います。「そうなんだ祭」に向けて準備をして、発表をすることで本人が少し変わる、そんな事を‘そうなんだ’では大事にしたいと思います。(理事長)